キャリア・ストーリ (10)
経営コンサルタントとして
キャリアについて質問されることが増えたので、半生を振り返って記事を書くことにしました。悪いことはだんだんと忘れていくので、良い出来事や自分に都合の良い解釈が多いですが、ご笑覧下さい。
創発計画株式会社を創業
これまでのキャリアから、「ネットビジネス中心に、事業立上げ支援コンサルティングやります」ということで仕事を開始しました(創業時のブログ)。
最初はいただいたお話に合わせて、自分の経験をベースに仕事を組み立てていく形で、模索しながらの船出となりました。とはいえ一人の会社ですから、全て自分の手が届く範囲で意思決定して行動できる身軽さには開放感を感じましたね。
「顧客開発モデル」との出会い
あるサービス開発プロジェクトのご支援を通じて、事業立ち上げの方法論を提供する必要性を痛感していました。そういえばと、以前に買ってあったスティーブ・ブランク著「アントレプレナーの教科書」を読み返してみると、これがまさに教科書にピッタリでした。
前後して、エリック・リース著「リーン・スタートアップ」がブームとなり、「顧客開発モデル」をベースにした事業開発プロセス導入支援をするという事業の方向性が決まっていきました。
こうしたプロセスは、一旦決めたとしても実行しながら修正していくものですから、ハンズオン支援とワークショップを併用する形となりました。浸透を図るためには、組織ごとの課題を把握しつつ、そこから得られる知見をフィードバックして行く必要があります。こうして、プロセスを組織にあった形に修正していくことが大切な作業といえるでしょう。
やりたい事業のイメージを形にするには
顧客開発モデルを用いた事業開発プロセスは、『自分がやりたい事業のイメージはすでにある』ことを前提として、如何に市場にフィットするように育てるか、の方法論になっています。
そうなると、「やりたい事業のイメージ」をどう生み出すかが課題になります。よくある話として「うちの社員には大したアイデアがないんだよ。そういう社員を採用するにはどうしたらいいのか?」というものがあります。
これを私は「スーパーマン願望」と呼んでいます。上司に明確なアイデアがないのに、それを超える素晴らしいアイデアを出してくる社員が採用できるはずがありません。「いまの組織、社員で事業を生み出すべき」と考えれば、今いる社員の皆さんから事業アイデアを引き出す方法論が必要となります。これをどうやって見つければいいのか模索する時期が続きました。
TheWave湯川塾へ参加
そんな時、TheWave塾(当時はTechWave塾。2013年初に改名)を主催する湯川鶴章さんを知る機会がありました。IT・ネット系の情報を発信してきたジャーナリストです。
湯川さんと友達になりたいと思った私は、早速塾に申し込むことにしました。中身をあまり確認せずに申し込むと、第10期ということで「新しい価値観の社会の中でのビジネスとキャリア」と言う内容でした。
ちょうど創業して1年経つ頃で、どうやって仲間を集めて社会に影響をもたらす存在になればいいのか暗中模索でしたし、上述のように「事業アイデアを引き出す方法論」を探している時期でもありました。
ここでは、いわゆる社会起業家やソーシャルイノベーションを手がける方たちの話を聞き、議論することができました。それ以前はボランティアとか社会起業とか全く興味がなかったのですが、「ああ、こういった社会の動きがあるんだな」と興味を喚起されました。
イノベーション・ファシリテーションとの出会い
その一つの活動が、野村恭彦さん(株式会社フューチャーセッションズ代表取締役)が講義で教えてくれた「フューチャーセッション」でした。はじめて野村さんがファシリテーションするイベントに参加した時の興奮は今でも覚えています。
なんどか参加しているうちに、この手法は「事業アイデアを引き出す方法論」として使えるという確信を持つようになりました。このタイミングで開催されることになった「イノベーション・ファシリテーター講座」で基本スキルを習得して、実践を重ねていきました。
※ このページのタイトル画像は、私がファシリテーションしているところです。
フューチャーセッションは対話を重視しているので、参加する人が作り出す場の力がアイデアに転換します。しかし、プロダクトやサービスのアイデアを形にするには、一人ひとりの心のなかにある想いをカタチにする手法がもう一つ必要だとも感じていました。
偶然出会ったレゴ・シリアスプレイは、この用途にピッタリだと思い、こちらも講座を受けて基本スキルを習得しました。
ツールは揃った
3年の活動と研鑽を経て、
- 新事業開発プロセス導入支援
- イノベーション・ファシリテーション
- レゴ・シリアスプレイ・ファシリテーション
というカタチができつつありました。
心のなかに浮かんだアイデアを形にして、仲間とブラッシュアップして事業化を目指し、将来の顧客と対話してビジネスを作っていく、という一連の流れをサポートする仕事は、50代をかけるにふさわしいと確信するようになりました。
ALS発病と方向転換
残念ながらALSを発症してしまったので、ファシリテーターとして事業への思いを持つ方々を支援する仕事は難しくなってしまいました。
しかし、これまでの経験や知見をお伝えすることは、まだできます。人前に立てないなら、オンラインでできることを探します。
私のキャリアは、今ここにいるのです。
キャリア・ストーリ一覧 (1) 大学・大学院まで (2) NEC中央研究所 (3) スタンフォード大学客員研究員 (4) 企業内転職 (5) Web検索事業責任者 (6) ベンチャー企業役員 (7) 中国大連で会社設立 (8) 人材交流マネジメント (9) 大企業の傘下へ・半年の小休止 (10) 経営コンサルタントとして