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ALS患者高野元の日常と思考と回想

気管切開と誤嚥防止手術を受けました(1) ~食べ続けるために早期の気管切開を決断

      2017/07/08

この5月12日から6月16日までの一か月余り、気管切開と誤嚥防止手術を受けるために入院して来ました。

今回の手術は、ALS患者にとっての大きなイベントである気管切開を行うものだったのと、いくつかのトピックスを含むものになったので、複数回に分けて詳細に書き残しておきます。

手術を決断するまでの経緯

2016年4月に胃瘻造設を行いました。当分使わないつもりで早めに手術したのですが、嚥下機能の低下の進行が早く、それまで1時間程度だった食事が、すぐに2時間かかるようになり、早々に経口と胃ろうを併用することになりました。

この時期と前後して呼吸機能の低下が始まり、夏の初めには血中酸素濃度が93%を示すようになりました。さすがに近い将来の気管切開を意識し始めました。それでも、カフアシストの導入、胸郭マッサージ、夜間バイパップの徹底、LIC Trainnerの導入、といった呼吸筋リハビリを続けた結果、冬になるころには血中酸素濃度が95-6まで回復していました、気管切開はまだ先かな?という気持ちと、突然窒息して緊急搬送になるのも嫌だから早めに手術しないとなぁ、という気持ちの葛藤もありました。

一方、嚥下障害の進行も進んで呑み込みが悪くなり、2017年に入ると水分が気管に入り食事中にむせこむことが増えてきました。実は、かなり早い時期から唾液が気管に垂れ込むことによるむせはあったのですが、咳をする力が十分あったので大きな問題にならずに来ました。

食事の形態は、ほぼミキサー食となりました。それでも、食事中のむせは痰を増やすことにつながり、毎食後のカフアシストが欠かせなくなっていきました。また、どんなに工夫しても、汁物やお茶が飲めなくなっていきました。

呼吸はほとんど問題がないのに、食事がままならない状況をどう改善するか悩みました。選択肢は二つありました。

  • 胃ろうからの経管栄養主体に切り替え、経口はあきらめる。
  • 誤嚥防止手術をして、経口主体を維持する。

昨年佐賀の中野玄三さんを訪ねた時、「自分も口から食べ続ける」と誓ったこともあって、3月の半ばに誤嚥防止手術を受けるしかないと決心しました。

声門閉鎖術を選択

さて、誤嚥を防止するには気道と食道を分離しなければならず、咽頭摘出術、咽頭分離術、声門閉鎖術、などいくつかの方法があります。いずれも前提として気管切開が必要になります。

主治医とは、気管切開の時期は自分で決めていいという話になっていましたので、3月の定期診察で意思を伝え、4月に同じ病院の耳鼻咽喉科の医師と術式を相談しました。

実は事前に調べても、どの術式がどのようなもので、どのような長所短所があるのかよくわかりませんでした。何となく分かったのは、どの術式でも食事は口から食べ続けられそうなことと完全に声を失うこと、術式によって体への負担が違いそうだ、ということでした。

声を失うことについては、特に問題を感じませんでした。というのも、私は構音障害の進行が早く、すでに家族にもわからないうなり声しか出せない状態だったからです。

医師から提示されたのは、声門閉鎖術でした。理由は、手術が容易で体への負担が少ないことと、咽頭の形状を維持するので気管カニューレの選択肢が広がる、ということでした。

フーンという感じでしたが、続いて「この病院で初めて行う術式です」との言葉が。声門閉鎖術は、10年ほど前に国内で開発された手法で、病院初だというのです。これで腹が決まりました。喜んで聖マリアンナ医大病院の声門閉鎖術第一号になりましょう、と。

気管切開と誤嚥防止手術を受けました(2) ~術後の経過と誤嚥防止術の成果

参考文献

 - 病理・医療