日本ALS協会の厚労省陳情に参加しました

ALS生活, 病理・医療

1月11日に、日本ALS協会が厚生労働省に対して、治療薬の早期承認を求める陳情を行いました。

私も患者代表として参加しましたので、概要を残しておきます。

経緯

なお、日本ALS協会は、毎年繰り返し本件も含む要望を提出しています。

成果

陳情の場で、集まった1万件を超える署名を担当課の課長に手渡しました。

その場での回答として、厚労省がすでに制度化している、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬の要望募集」を案内されました。

もちろん、申請すればすぐに使えるわけではありませんし、そもそもレリブリオは日本国内での販売はまだ未定です。

重要なのは、この陳情はレリブリオだけの話ではないことです。国内に目を受けると、徳島大のメチルコバラミン、慶応大学のレキップ(パーキンソン病薬)、京都大学iPS研究所のボスチニブ(白血病薬)が治験プロセスに乗っています。これらの薬を早期に試せるようになることも期待されます。

記者会見

陳情に続いて、記者会見もセットされました。

熱心に取材してくれたのはNHKで、早速ニュースになりました。

私も、患者代表ということでコメントをだしたので、下記に掲載します。

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タカノハジメといいます。2014年にALS の告知を受けた患者です。
患者代表ということで本日の陳情についてコメントいたします。

われわれALS患者が療養する環境は、難病法・介護保険法・障害者総合支援法などの形で整えられてきました。運用上の課題はあるものの、全身が動かなくなるなかでも、生ききることができるのです。

一方、患者がもっとも望んでいるのは創薬です。一番欲しいのは治る薬ですが、まずは進行を遅らせる薬で良いです。初期の患者は、酒井さんやわたしのように発話不能で四肢麻痺になるのは恐怖でしかないはずです。私もそうでしたから。

医学書には3-5年で呼吸が難しくなって死ぬと書いてありますから、藁にもすがる思いで認可薬を試します。残念ながら効果は限定的ですし、個人差もあります。

そこに、治験プロセスに乗った薬や、外国で認可された薬が出現したら、一刻も早く試したいと思うのが人情です。しかし、治験のプロセスは厳密すぎて、このような要望に柔軟に対応できていません。なにもしなければ死んでしまいますから、多少のリスクは許容できるのに、です。

認可薬の一つであるエダラボンは、認可まで15年かかりました。待てないどころか死んでしまいますよね。

日本ALS協会は、その旨を長らく繰り返し陳情してきました。今回も、その繰り返しの一つです。

最後に、数ヶ月延命しても結局死んじゃうんでしょ、と多くの方は心の中で思っているかもしれませんが、それは違います。

酒井さんや私は、冒頭に触れた公的支援を受けて生きていて、電車に乗ってここに来ています。運用上の数々の課題を克服してのことです。

そうなるには、重度障害者として生きる決心が必要で、決心には時間が必要です。

進行を遅らせる薬は、そのために有用なのです。

そして、生き抜く中で治る薬ができるのを首を長くして待っています。

以上です。