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ALS患者高野元の日常と思考と回想

私はなぜ生きたいのか

      2017/06/28

ALS患者というものは、発症から数年で呼吸筋が機能しなくなり、死に至ってしまいます。
30数年前に人工呼吸器が発明されて、呼吸筋が動かなくなっても生きられるようになったそうです。

しかし、実際に呼吸器をつける道を選ぶのは、患者の3割しかいないそうです。

これは、全身が動かなくなる患者の介護が、いかに大変なのかを物語っています。家族の人生を奪うのなら、いなくなったほうがマシ、と考えてしまうからだと聞きました。

あるいは、寝たきりで動かなくなることに対する絶望もあるでしょう。

私も発症から4年以上がたち、呼吸機能が当初の半分以下まで低下してきました。一年ほど前から、夜間はマスクを付けて呼吸筋を休めるようにしてきましたが、 そろそろ気管切開の時期を決めないといけなくなりました。

手術の日程が決まり、改めてなんで自分は生きたいのか、頭を整理してみると三つに収斂しました。

(1)まだまだやりたいことがある

(2) 平均寿命くらい全うしたいよね

(3) 家族や友人たちと笑っていたい

うーん、イマイチしっくりこない。

ふと気づいた。
これってどれも、生きていればいつかは実現できる結果の話だし、今も結構実現できていること。

生きることに理由なんか必要ない。生きてもいいですか?とくよくよ悩む意味もない。

生きていれば、いろんなできごとがある。いいことも悪いこともある。

人生は、選択の積み重ねだ。私の選択を思いつくまま書いてみた。

病気になる前なら、

・どこの大学行きますか?
・どの会社に就職しますか?
・誰と結婚しますか?
・研究所生活が10年になりました。事業部に移りますか?
・大企業に飽きてきました。ベンチャー企業に転職しますか?
・ベンチャー企業が買収されました。独立しちゃいますか?

病気になった後は、
・難病のALSになってしまった。在宅療養しますか?
・食べるのが大変になってきました。胃ろう作りますか?

これから直面する課題は、
・呼吸機能が落ちてきました。気管切開して呼吸器着けますか?
・在宅療養では家族の負担が重過ぎる。ヘルバーさんや看護師さんに助けてもらいますか?
・そうした人たちに支払うお金が必要です。行政の支援が得られますか?
・難病患者のケアができるヘルバーが見つかりません。自薦ヘルバーを探して育成しますか?

家族介護から抜け出せるかどうかは、すでに分かっている課題に向き合ってチャレンジするかどうかにかかっている。そして、成功している方もたくさんいる。
自分たちがチャレンジして、うまくいかない理由もない。

もちろん、迷いがないかといえばうそになります。
日本では、人工呼吸器をつけたら死ねないので、自分の心が折れる事件が起きた時、自分がどこまで正気を保てるかわからないです。

でも、これまでも、ここからジャンプしたら死んじゃうかな?ということがあって、まだ生きている。

難病になっても、新しい出会いがあって、友達は増えているんです。私の介護・看護に関わってくれみなさんも友達みたいなもんだ。みんな真剣に、私が生き延びるために必要なことは何か、と手配してくれる。『ご自分で生きると決められた』から、お手伝いします、と言ってくれる。

そして、生きる道を切り開いてくれた先人に感謝し、繋げていく使命も感じています。

だから私と妻は、気管切開して人工呼吸器をつけて生きることに決めました。

妻はもともと、ポーッとしてニコニコして応援するのが好きな人。私の転職や独立にあたって、反対しなかった人。だから今回もきっとうまくいく。

どうか皆さん、私と妻を応援してやってください。これからもどうぞよろしくお願いいたします!

 

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