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ALS患者高野元の日常と思考と回想

ラジカット体験記(3):第2クール

   

6月末にALS治療薬として認可された、ラジカットの投与を始めました。すでに下記の記事で経緯を書いています。

先週、第2クールを終えたのですが、自宅で投与することができました。今回はその顛末を書いておきます。

訪問医師との相談経緯

移動が難しくなる要介護の患者は、日常の体調変化に在宅で対応するために地域訪問医療のお世話になります。

私も春頃から、訪問医療の体制づくりを考え始めるように、主治医からアドバイスを受けていましたが、強い必要性がなかったこともあり先延ばしにしていました。

薬事承認が降りた直後、7月頃から主治医とラジカット投与の相談を始めましたが、その段階で訪問医師とのコンタクトを開始しました。

幸いなことに、訪問リハビリを依頼している介護事業所が、同じ医療グループの医療看護事業所を紹介してくれました。

訪問医師の訪問を受けて、すぐに「ラジカットを在宅投与してもらいたい」と相談し、前向きな返事をもらえたタイミングで主治医との定例診療があり、その後第1クール投与のために入院しています。

この入院中に、主治医と訪問医師を中心に看護師・理学療法士を交えたカンファレンスを開いてもらいました。これで関係者間の情報共有が済み、第2クールは自宅で投与できることになりました。

第1クールを終えて帰宅した私の状況

先の記事に書いたように、3週間の入院生活でADL (Activity of Dairy Life : 日常活動能力)が低下し、体重も4Kgほど減ってしまいました。

帰宅後に、2階にある寝室や書斎と1階の往復ができるか不安だったので、退院前に1階に介護ベッドを置いてもらっていました。

帰宅直後は下肢と体幹の筋力が落ちてしまっていて、自宅内の移動も危ない感じでした。すぐに手すりを4箇所増設することになりましたが、なんとか自力で移動できていました。

体重を少しでも戻すために、徹底した高タンパク食(といっても、肉・卵・納豆など)を心がけ、普段はあまり食べないオヤツを2〜3個食べるようにしました。

ラジカット投与の経緯

退院したのが、第1クールを終えて1週間後の水曜日だったので、第2クールは翌々週の火曜日からにしました。

投薬指示に従い、第2クールの2週間で10日間の投与(5日投与して2日休み、次いで5日投与)を行いましたが、その期間での変化を振り返ります。

投与期間の変化

最初の一週間はこれといって変化はなく、淡々と過ぎたので、特筆すべきことはありません。

2週目に入ると下肢の動きが悪くなり、体重をかけるとこわばりが強く出るようになりました。このため、手すりを使っての自宅内の移動がしんどくなりました。また、落ち着いていた咳が再発するようになりました。

投与後の変化

下肢の動きは投与の最終日から改善しはじめ、退院帰宅後にくらべると随分良くなりました。入院前の状態ほどではありませんが、それに近いところまで来ています。

また、咳はおさまらず、続いています。

変化に対する考察

下肢のこわばりが強くでたのは、タイミング的にはラジカット投与と一致していますが、直接の関係はないと考えています。

むしろ、入院で弱った体力を取り戻すべく、日常生活を頑張った結果、疲れが溜まったのだろうと見ています。

咳についても、一時的な体力低下が原因で、ラジカットとの相関はないと考えています。吸入薬によって症状は改善しています。

在宅での処置について

今回在宅で投与するために、地域医療体制のお世話になりました。その概要を紹介します。

訪問医師の役割

投与には医師の指導が必要なので、在宅投与は訪問医師に処方してもらうことになります。

投与前後の血液検査や、点滴用カテーテルの挿入も、訪問医師が直接行いましたが、行為自体は看護師も行えるものです。

訪問看護師の役割

医師の指示のもとで、ラジカットバッグをカテーテルにつなぎ、点滴を実行してくれます。

点滴開始と終了時に対応が必要になりますが、一日二回の訪問はできるだけ避けたい事情があり、その対策が課題となりました。

妻の役割

さて、カテーテルを挿入している限りは、やることは手順に従って点滴バッグとカテーテルをつなぐだけです。

医師と相談して、その作業は一部は妻が担当する事になりました。手順を覚えるまでは不安なので、今回は看護師がヘルプすることとなりました。

法律上問題がないか気になりますが、医師法 第23条では、

医師は、診療をしたときは、本人又はその保護者に対し、療養の方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければならない。

とあります。つまり、本人または家族であれば、医師の指導があれば医療行為をしてよいと解釈できます。

在宅投与のメリット

繰り返しになりますが、長い入院での投与はADLの低下を招きます。

今回は在宅で行ったため、できるかぎり以前の日常生活を維持しようと努めました。結果として、衰えたADLをほぼ回復し、体重もほぼ元通りになりました。

退院時には、入院時の2/3くらいに細くなったんじゃないかと思えた右ふくらはぎも、ほぼ元通りになっています。もちろん、健康な時に比べれば細いですが、回復したのは適切なリハビリと、高タンパク食のおかげと考えています。

おわりに

ラジカット投与の第2クールの状況を紹介しました。

ラジカット効果があるかといえば、まだなんともいえない、というのが正直なところです。

ただ、衰えた筋力や機能はほぼ回復しないと思っていたのですが、結構回復したことには正直驚いています。

次の第3クールでは、ある程度機能回復の目はある前提で、ラジカット効果を感じてみようと思います。

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