2024年 新年のごあいさつ
新年のごあいさつを申し上げます。
2023年は、私にとってのチャレンジが数々実を結んだ、素晴らしい一年でした。ALSを発症してから10年が過ぎましたが、こんな1年が訪れるとは考えもしませんでした。
まず、ペルモビールF5の導入です。ずっと憧れていた電動車いすでしたが、マンションに引っ越したことと、介護保険のレンタルが始まったことで、7月に利用を開始しました。日常の外出はもちろん、札幌弾丸旅行、スイス出張でも大活躍してくれました。
とはいえ、わたしはもはや自分で操作できないので、ヘルパーチームに操作を覚えてもらわなければなりませんでした。実践で苦労して覚えて、ヘルパー同士で教えあって技術が向上していきました。自薦ヘルパーを集めるために、重度訪問介護事業所を経営してほんとうによかったと思えました。
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次に、川崎つながろ会の成長です。何といっても、川崎市立看護大学のボランティアサークル「川崎リンクス」の参加で会が活性化しました。4月のWheelog!川崎、11月のバスハイクといったイベントの参加はもちろんですが、前から取り組みたかった地域事業者の取材を、「地域を知ろう!学生記者が聞いてきました」企画として実現することもできました。
細々とではあっても、杉田省吾さんや地域の支援者と続けてきた、神様のご褒美だと思っています。
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最後は、スイス・バーゼルで開催された、ALS国際シンポジウムの参加でした。
共著者の先生方のサポート、ボランティアチームの協力、クラウドファンディングで支援してくれた皆さん、と予想よりはるかに大きな支援で実現しました。なんというか、前の会社を追われた後にALSになり、もう社会的に孤立していると思った時期もありましたが、このように協力してくれる人達に囲まれるようになるとは、本当に夢のようです。
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こちらは、昨年10月に行った講演「ALS発症からの10年間を振り返る」の1ページです。
12月に海外渡航が計画から実現に変わったことで、すべてがつながった一年になりました。手術後にイメージを持てた時点では、「3年くらいは仕事が十分あるな」と思っていましたが、6年経ってもまだまだ道半ばです。
この中で「✕」のままのデータベースは作るだけなら難しくありませんが、本質はいかに暗黙知を形式知に変換して入力してもらうかになります。これは簡単にはできない仕事で、自分にやりきれるのか?と躊躇してきました。しかし、他の仕事に目鼻がついたので、そろそろ手を付けるかと思い始めています。このような領域は、AI技術の劇的な進歩に取り残されています。これは学習に使える形式知になっていないからで、いずれ社会問題になるので、対策となる事例を作るのは社会的な意義があると考えています。
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昨年やるやると言っていた電子書籍は、ALS国際シンポジウムが現実になるにつれて先送りにしてしまいました。まずは、コレに取り組みます。
ヘルパーチームの強化も喫緊の課題です。スイス出張では、常勤が一人しかいないことが大きな課題になりましたので、近日中に常勤ヘルパーを募集します。
川崎つながろ会の運営も、地域に活動を広げるために体制を整えていきたいと考えています。今までは手弁当で役割も決めずに場当たり的に動いてきましたが、そろそろきちんとしていきたい。
そんなわけで、今年も皆さんの力を借りて、進行したALS患者であることを忘れて元気に活動していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(追伸)アイキャッチ画像は、生成AIで作ったドラゴンと富士山です。