6月21日は世界ALS/MNDの日
今日6月21日は、世界ALS/MNDの日(Global Day)だそうです。その開催趣旨は、下記のようになっています(イベントページから抜粋・抄訳)
- メンバーがALS/MNDコミュニティに深く参加して団結すること。
- 参加団体に対する寄付を促進すること。
- メンバー、国際的な研究協力、連盟参加者のパートナーシップ/メンターシップ・プログラムを促進すること。
- 世界的にALS/MNDに対する認知をひろめるキーメッセージを制定し拡散すること。
とあります。
私はメンバーではなく一介の患者ですが、ALSに関するコミュニティ活動を、知っている範囲でご紹介すべく記事を書いてみます。
なお、
- ALS: Amyotrophic Lateral Sclerosis (筋萎縮性側索硬化症)
- MND: Motor Neurone Disease (運動神経疾患)
がそれぞれの略号です。ALSはMNDの具体的症例のひとつで、ほかにも原発性側索硬化症(PLS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、球脊髄性筋萎縮症、といった病気が含まれるそうです。
“ALS/MND without Borders”
今年のキーメッセージは、
ALS/MND WITHOUT BORDERS |
とあります。
ALS/MNDは、年齢、人種、性別、国籍、民族的特性、経済状態を問わず発生する疾患ですが、今年は「こうした境界(Border)を越えて協力しあおう」というキーメッセージになっています。
国際ALS/MND協会連盟
このALS/MND Global Day を主催するのは、国際ALS/MND協会連盟 (The International Alliance of ALS/MND Associations) というイギリス発祥の組織で、そこに各国のALS/MND団体が参加する形になっているようです。各国の団体がすべて加盟しているわけではありませんが、参加非参加を問わないディレクトリとしてまとめられています。
この団体は、年度大会(Annual Meeting) や表彰 (Award)などの活動をしています。詳細は触れませんが、過去の表彰履歴を眺めていたところ、2001年にYuko Matsuokaさんという方が受賞されていました。
どんなご経歴で貢献があったのかと調べてみたところ、どうやら翻訳家で、静山社という出版社の会長を努めておられる方のようです。言わずと知れた「ハリー・ポッター」シリーズの翻訳者と出版元ですね。
ご主人の松岡幸雄さん(故人)は、1983年に静山社の社長としてALS患者の出版を手がけ、その後日本ALS協会の設立を推進されます(設立当時の事務局長)。
奥さまである松岡 佑子さんも、同様にALS患者のために活動されているとのことなので、こうした一連の貢献が評価されたのだと推察します。
日本ALS協会
さて、その日本ALS協会は、ALS患者と家族、医療関係者、などALSに何らかの関わりがある方たちの参加で成り立っている一般社団法人です。
私は会員になったばかりで、これから活動に参加するので、運営の詳細についてはまだはっきり見えてきません。
それでも病名の告知を受けた後にまずしたのは、本協会が取りまとめた「新ALSケアブック」を購入して通読したことでした。
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また、昨年話題になったアイスバケツ・チャレンジですが、国内の寄付先は日本ALS協会の寄付窓口でした。イベントの有無に限らず随時寄付を受け付けています。
こうして集まった寄付の一部は、ALS関連の研究助成に使われています(交付実績について)。ただ、一件が100万円という金額は、新規の研究者を一人雇う想定だと、せいぜい1-2週間分の活動費にしかならないはずです。
こうなると、先端医療関係者との関係維持と、患者会としての研究活動の優先順位に対する意思表示という以上の効果しか期待できないでしょう。
世間の認知向上と、これによる寄付の拡大が望まれるところです。
END ALS
世間の認知向上という点で、精力的に活動しているのが “END ALS プロジェクト”です。
ALS患者であり、広告プランナーでもある藤田ヒロさんを支援し、その想いをカタチにするプロジェクトです。
最近、たくさんのニュースで取り上げられていましたが、研究段階にあるALS先端医療の治験を受けやすくしてほしいというメッセージをCMにまとめています。
このプロジェクトで制作しているTシャツは、なかなかよいデザインで私も購入しました。
藤田ヒロさんの本は、私も告知後に読みました。病気のことそのものよりも、彼の考え方や生き方に触れたい方は読んでみると良いと思います。
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おわりに
世界ALS/MNDの日をネタに、調べてみたことをまとめてみました。ここで取り上げた以外にも様々な取り組みがあるようですが、それはおいおい触れていくつもりです。
患者の立場からすると、ALSの原因究明を急ぎ、先端医療の道が早く開かれてほしい、ということになります。
ただ、これまでの経営経験から考えてみると、前線の医療関係者は全力で頑張っていると思うのです。
しかし、このような全人類的な課題を解決するには、天才の出現を待つか、組織横断的な取り組みで突破口を見つけるしかないことは歴史が教えてくれています。
前者は、ただ祈るしかない。後者なら、一人ひとりができることがあるかもしれないと思うので、多くの方に興味を持ってもらうために、ALS/MND Global Dayに賛同します。