gentak.info

ALS患者高野元の日常と思考と回想

気管切開と誤嚥防止手術を受けました(3) ~気管切開と自動痰吸引器アモレの導入

   

http://tokso.net/00105rental170523.pdf から引用

この5月12日から6月16日までの一か月余り、気管切開と誤嚥防止手術を受けるために入院して来ました。

今回の手術は、ALS患者にとっての大きなイベントである気管切開を行うものだったのと、いくつかのトピックスを含むものになったので、複数回に分けて詳細に書き残しておきます。

術後の経過

誤嚥防止手術はすなわち気道の閉鎖なので、呼吸するため気管切開が必要になります。よくある順番は、呼吸困難になり気管切開→経口で食事するために誤嚥防止手術、なのですが、食べるために気管切開をしたいきさつは先に書いた通りです。

手術直後は挿管されていたかもしれませんが記憶はありません。神経内科病棟にもどってからは、気管口から普通に呼吸をしていました。気管口に薄いガーゼをかぶせて気管の乾燥を防いでいましたが、この段階から痰が多い状態でした。

術後2週間ほどでカニューレの装着をしました。これまで続けてきた夜間バイパップをするためには、呼吸器をつながないといけないためです。このカニューレが曲者でした。まあ、体にとっては異物なわけで、排除しようとする反応は自然といえば自然です。気管内の分泌物が出て痰になり、それがむせにつながります。この頻度が結構高くて、1時間に1-2回は痰の吸引で看護師を呼ぶ始末で、「これからが思いやられるなぁ」とベッドの中で思っていました。

自動痰吸引器アモレの導入

これまでの人生比較的健康でしたが、体力が落ちたりストレス過多になるとのどや気管支が具合悪くなりました。気管切開はそこを直撃するわけで、先輩患者から聞いていた痰の吸引が、療養生活の課題となることは予想できました。夜間の痰吸引がパートナーの負担となり、家族介護が破綻することも多いとも聞きました。

事前に調べたところ、大分県のトクソー技研さんが開発した自動痰吸引器アモレという装置があることを知りました。

開発元に問い合わせたところ、主治医の同意書を送ってくれればデモ機を送ります、ということで主治医と相談しました。主治医によれば、アモレの導入には新しいカニューレが必要とのことで、それをテストしてから同意書を書いてくれることになりました。

そのカニューレは、コーケンダブルサクションカニューレというもので、カニューレ口にたまった痰を吸引できるようになっています。その分、外径と内径の差が大きくなっています。最初は外径が同じサイズを試しましたが、その分内径が小さくなり呼吸がしんどくなりそうだったので、内径が同じサイズに変更しました。当然外径が大きくなるのですが、私の気管にはかえってちょうどよく収まりました。

アモレは最初から見事に端を吸引してくれて、看護師を呼ぶ回数が激減しました。ただ、デモ機使用中に故障してしまいました。アモレは自宅に戻ってからも苦労したのですが、そのあたりは後日書きます。

気管切開して気づいたこと

切開する前には、のどに穴が開くだけで大して変わりがないと思っていました。実際にはいろいろ変化がありました。

  • 匂いがわかりづらくなった。
  • 鼻がすすれない、かめない。
  • 口から水分を吸い込みづらくなった。

要は、口と肺が切り離されてしまったので、肺の力でできていたことができなくなったのです。これらは疑似体験できます。口を開けてやってみてください。

いいこともありました。仰向けに寝られるようになりました。これまでは、軟口蓋(のどちんこ)が下がって気道をふさいでしまうので、横を向かなければいけなかったのです。

呼吸で苦しんでいた患者の多くは、気管切開をすると呼吸が楽になり、もっと早くすればよかったと思うそうです。私はそうではなかったので、そこまでの喜びはないのですが、これが私の新しい姿だと受け入れて適応していこうと思っています。

 - 病理・医療