[読書] ZERO to ONE
話題のZERO to ONEを一気に読了。
すでに書評は数々の投稿やAmazonに上がっているのでそちらに譲るとして、ペイパル・マフィアでもあるティール氏の起業哲学を体感できるスピード感のある本だと言っておきます。
一番気になったのは、瀧本哲史氏の序文で「リーン・スタートアップ手法と真逆」と書いてあった「ティールの法則」でした。
この点については、
・リーン・スタートアップ:使ってもらえる優れたプロダクトを生み出す方法
・ティールの法則: 長期で独占的に発展するスタートアップ企業を生み出す方法
というように、スタートアップ概念の前提が違うと捉えました。
私が本書で印象的だったのは下記3点です。
(1) 明確な楽観主義者は、自らの計画と努力によって、より良い未来が訪れると信じている。
よくビジョンの重要性が言われますが、さらに「できると信じる」楽観性が大事ということです。もちろんこれには、技術についての深い洞察が必要であることは言うまでもありません。
(2) 誰も築いていない価値ある企業とは、「隠れた真実」を見つけた企業。
楠木先生の「ストーリーとしての競争戦略」に「部分的な不合理をもつ合理的な全体」という概念が出てきますが、これと同じですね。
合理的=常識を起点にして考えると、すべての部分が常識的となり、全体も常識になる。でも、これは誰でも気づいて真似できるので、長期的な競争優位にならない、ということですね。
(3) 独占を築ける小さな市場を設定して、まず勝つことから始める。
長期の発展を目指す破壊的なスタートアップであっても、まず勝てる市場を設定し、そこで勝ってから周辺を広げていくと説いています。
これはエリック・リースの師匠であるスティーブ・ブランク氏も言っていることで、小さくても圧倒的に勝つ実績がないと大きく育つことはない、ということですね。
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ティールの法則だけでなく、ビジネス実行上答えをだすべき7つの質問というのがあるのですが示唆に富んでます。この辺りは、ビジネスモデルキャンバスの不足を補うものなので、上手く組み合わせたいところです。
知りたい方は是非本を手にとって下さい。
自分としては「明確な楽観主義」を持って未来を見据えて行動する、というところに長年の課題があって、今世はずいぶん改善したけど(まだ頑張るけど)、来世に持ち越す課題なんだろうなと思いました。