2013年の振り返り(3):海外出張編
今年の出張の目玉は、5月のシリコンバレー出張でした。9年ぶりです。青い空と広大な環境、自由な空気にはいつも開放感を感じますね。また6月には、中国大連を訪れて講演会を開催しました。
(1) シリコンバレー出張 (5/15-5/22)
主目的はMaker Faire Bay Area 2013 に参加し、本場アメリカのMakerの様子を直接見てみることです。2004年の出張以来、実に9年ぶりのアメリカとなりました。
さて、そのMaker Faire Bay Area ですが、最も印象に残ったのは、「さまざまな普通の人がホビーとして大胆なアイデアに挑戦している」という裾野の広さでした。詳しくは、
を御覧ください。
このMaker Faireを見学に行くまではビジネスの可能性を意識していたのですが、「尖ったアイデアを出して世の中にインパクトを残そうとすることよりも、ただ何かを作りたい」という自分の気持に気づきました。当分ホビーとして取り組むほうがいいなという結論になりました。
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もう一つの目的は、スタンフォード大学のd-schoolを実際に見てみてみることでした。スタンフォードのd-schoolは、いまではデザイン思考の中心地として取り上げられることが多いですが、そのユニークな環境に強い興味を持っていました。また、スタンフォード大学は1997‐98の一年間客員研究員として在籍した思い出の場所で、ひさしぶりに行ってみたくなったのです。
d-schoolで最も印象に残ったのは、「型にはめない、すぐに形にする、なんどでもやり直す」という精神が具現化された環境でした。詳しくは、
を御覧ください。
ここで得たインスピレーションのいくつかを、ギークオフィス恵比寿でも実現するべく活動しています。
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日程にすこし余裕があったので、Maker Faireで説明を受けたTechShopに行ってみることにしました。このメンローパーク店は創業の地で、SQUAREのプロトタイプ製作が行われた場所としても知られています。日本ではFablabの方が有名ですが、TechShopはより強くビジネスを意識していると感じました。詳しくは、
を御覧ください。
日本でもTechShopができるといいなと思っていたら、東京目黒にMaker’s Baseという場所がオープンしました。友人が早速活用していることもあり、来年早々に見学に行ってきます。
(2) 大連出張 (6/12-6/16)
中国大連で仕事をしたのは2006年秋から2010年暮れの4年半ほどですが、オフショアの受託開発が難しくなるのは当時からわかっていました。その理由は、
- 物価上昇に伴い社員の給与が上がり、安い開発拠点という強みが消えていく
- 暗記型教育の弊害で、新しい分野へチャレンジする姿勢に乏しい
- 現地に市場が乏しいので、先端分野のノウハウを学ぶ機会が限られる
の3点です。
今年後半にアベノミクスによる円安傾向になるまで、長い間円高が続いていたこともあり、多くのソフトウェア企業が経営に苦しんでいるという話が伝わってきました。たとえば、人民元(RMB)-日本円レートが1RMB15円から12円になっていたわけですが、日本円で売上を立てているオフショア開発企業にとっては、この場合RMBでの受け取りが2割減少することになります。その上で物価上昇があって社員の給与も引き上げないとなりません。
こうなると今までのやり方を踏襲するのではなく、付加価値を引き上げて単価を上げる必要があります。付加価値を上げるには、組織の成長を促してスキルを引き上げることと、次の市場を見つけて先行してノウハウを蓄積するしかありません。
この辺りの話を、日本での活動で得た情報と絡めて講演することにしたのです。2月頃から、現地の知人と相談しつつ企画をしてきたのですが、その実施が6月となりました。
中堅企業から小規模企業まで日本人の知人も合わせて、20数人の方に出席していただきました。方向性についてはおおむね納得してもらったものの、実際に行動するためにどうすればいいか? についての悩みを持っている方も多く、この辺りは日本での活動と重なることも多く、継続的に活動していかないとお伝えできないなと感じた点でした。円安のために経営的には一息つけたでしょうが、本質的な問題は変わらないので、引き続き関わりを探っていくつもりです。
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これ以降は海外出張の機会を作ることができず、その点が少々残念でした。来年は、まだ行ったことのない国を見に行ってみます。
>> 2013年の振り返り(4):国内出張編