54歳になりました:活動報告会2019レポート

ALS生活

昨晩3月31日深夜、54歳になりました。

で、今年も開催してもらいました、活動報告会。ALSの告知を受けてから、毎年開催してもらっています。

最初の頃は、いつまで生きられるかわからないので、友達に会いたいという気持ちでした。4回目の昨年は、気管切開を終えて落ち着いた状態を知らせたいと思いました。

5回目の今年お伝えしたいことは、「当分死ななくなりました」です。

ALS5で死ぬ直接の原因は、肺機能の低下による窒息です。今はまだ昼間の間は人工呼吸器無しで過ごせますが、いずれ難しくなるでしょう。すでに気管切開していて、その時は呼吸器をつけるだけでいいので、突然呼吸ができなくなり緊急搬送ということにはなりません。

なので、医療的には気管切開を終えたあとの昨年と変わりません。今回は、まだまだ社会参加できるという実感がもてたことが大きな違いです。たんなる医療処置だけでなく、精神的な充足も生きるためには必要ですから。

こちらの図は、神経難病患者の世界を簡単に表したものです。どうしてもケアをしてくれる人たちや、支援者に囲まれる生活となります。その外側に、健常者というか、普段は難病患者や障害者とは無関係な生活をしている人たちがいます。

私はそこにいる人達を、こちらの世界に時々引っ張り込むことを意識してきました。社会参加の実感が持てるように、機会を提供してもらうのです。精神的な充足は、私を取り巻くすべての人からもたらされます。「幸運はいつでも人が連れてくる」のです。

ここまでの話のプレゼンは、もちろん私自身でHeartyPresenterを使って行いました。AWS Pollyというクラウドの音声合成機能に対応したのですが(※近日公開)、その音声がとてもなめらかなので、ついつい読み上げ原稿が長くなりました。

つづいて、活動の事例を、関わってくれたみなさんに紹介してもらいました。

  • Amazon Web Service Polly への対応(椎名さん、岡嵜さん)
  • 日本ALS協会神奈川県支部の活動(岸川さん)
  • 川崎つながろ会の活動(小出さん)
  • 神経難病患者と鎌倉にいこう(高野朋也さん)
  • ハロウィン・フラッシュモブ(小関さん)
  • 分身ロボットカフェ(武内さん)
  • あいさつ機械の開発(川本さん、大島さん)
  • 吉藤オリィさんが用事を切り上げて、サプライズ参加

やりたいことに手を付けたいと、周りの支援で実現してきましたが、整理したのがこちらの図です。

今年も引き続き継続していきます。

 

さて、ALSの医療可能性についても紹介しました。iPS細胞を使った既存薬スクリーニングで、慶応大学と京都大学が効果のある薬を発見し、相次いで治験に入っています。他にも創薬のプロセスが進行していて、2025年位に複数の治療法が確立すると期待しています。そのあと10年位リハビリすれば、テニスコートに立てるのではないかと、思っています。こうしたイメージを、多くの友人に持ってもらいたい。科学のブレークスルーは、たくさんの人の潜在的集合意識が後押しするからです。

ーーーー

誕生日ということで、ケーキも用意してくれました。友人のTakaco Mom謹製です。切り分けて、皆さんに食べてもらいました。

ーーーー

後半は、グループワークで私への質問を出してもらい、それに答えるという形でした。質問をもらったあとにエピソードを話してもらう間に、回答を打つという形です(そのくらい視線入力が早い)。

その一つに、日常生活の中で何が楽しみか?というものがありました。

活動報告会のような企画を考えたり、それをお願いしたり、決断したり、という営みが普通に楽しいのです。いつも、これをやったら誰が喜ぶかな?と一人一人の顔を思い浮かべてニヤニヤしています。

もちろん、みなさんの協力があってのことですから、できるだけうまく発信して、参加しやすい形を作っていきたいです。

ーーーー

ところで、うんちマン・小関昭彦さんのプレゼンの中で、「ALSでなければ、高野はうんちヒューマンになっていたか?」という問いがありました。会場の反応は、もちろん「ならない」でしたが、私の回答は「たぶんなっていた」です。

ALSをの告知を受ける前、2012年ころから自分の中の価値感が転換していて、そこにALSが重なってきた形なのです。なので、ALSにならなくても、うんちマンとは出会っていたと思うのです。

そんなわけで今の私は、ALSになって苦しんでいるのではなくて、自分が進化するための制約としてALSを患っていると感じています。

なので、これからもみなさんの協力を得て、いろんなチャレンジを続けていきたいと思っています。

当分死ななくなりましたので、ALSの世間のイメージにとらわれることなく、みなさん引き続きご協力をお願いいたします。

※タイトル画像は、株式会社シアンの空力車、中野さんによるミニドローン撮影です。

ALS生活

Posted by gen