日本-アジアの人の動きを調べてみた(3) 〜 海外在留邦人統計
日本とアジアの関係に関心を抱きながら数字を押さえていなかったので、今さらながら統計値を調べています。関係する方たちには当たり前のデータですが、あらためて眺めてみて新鮮な驚きが幾つかありましたので、ブログに残すことにしました。
関係省庁から統計情報が公開されているので、その経年変化を追ってみるという形で、下記3つのデータを見ています。
- 訪日外国人統計(日本政府観光局)
- 出国日本人統計(総務省)
- 海外在留邦人統計(外務省)
本エントリは、海外在留邦人統計についてまとめます。
これは外務省が毎年発表しているデータです。世界各地の大使館・領事館が取りまとめたデータから、国家または都市の日本人在留数とその順位がまとめられています。
全体傾向
2010には114万人が海外で生活しており、そのうち38万人が永住者であり、76万人は仕事や留学といった事情で海外にいると考えてよいでしょう。1996年には、この総数は76万人だったので、15年間でほぼ1.5倍になっています。
比率がもっともが多いのは北米(アメリカ・カナダ)で、全体の38.7%を占めていますが緩やかに減少しています。次がアジアで27.4%を占めており、この7年で5ポイント上昇しています。また、ヨーロッパの比率は殆ど変わっておらず。南米の比率が低下しています。(グラフは割愛します)
2010年の在留邦人数トップ10は次のようになっています。
1位 | ロサンゼルス都市圏 | 69,426 |
2位 | ニューヨーク都市圏 | 57,429 |
3位 | 上海 | 50,429 |
4位 | 大ロンドン市 | 35,662 |
5位 | バンコク | 33,967 |
6位 | シドニー | 25,808 |
7位 | シンガポール | 24,548 |
8位 | バンクーバー | 22,326 |
9位 | 香港 | 21,297 |
10位 | サンフランシスコ | 16,587 |
北米・南米・欧州・豪州・アジアの各地に分散していることがわかります。
なお、総数ではなく長期滞在者数で見ると、上海が1位となります。いかに中国でのビジネスがホットになってきたかがわかりますね。
アジア主要都市
在留邦人数トップ50のランキングと人口の変遷をグラフにしてみました。アジア地区の都市をプロットしてありますが、見づらくなるので上海・北京以外の中国の都市は除いてあります。
90年代後半からの急激な伸びで、上海が香港・シンガポールを抜いていったことがわかります。また、バンコクも伸びて、上海に次ぐ人口となっています。
ここ数年で急上昇しているのは、ベトナムのホーチミンですね。また、ハノイも今年50位入りして、ベトナムブームを裏付けています。またタイのチョンブリー県もここ数年で着実に増えていますが、工業団地に多数の日本企業の誘致があるようです。
もともと在留邦人が多かったジャカルタはこの10年減少してきましたが、最近のブームを見ると再度上昇するかもしれませんね。
中国主要都市
トップ50には中国の地方都市も複数ランクインしています。中国の都市だけ取り出してみました。なお、香港も中国の一部としてカウントしています。前述したように上海が香港を抜いていますし、北京にも多くの日本人が住んでいることがわかります。
地方都市に目を向けると、大連が2000年代を通して継続的に成長してきたことがわかります。私自身が2006-2010に滞在してこの成長に便乗していたので、どこまでこの成長が続くのか興味を持ってみています。
また広州・深センといった華南の都市の成長は2000年代前半に集中しています。物価の急上昇もあり、日本企業が陣容を拡大するとは考えにくいのですが、中国国内の内需にシフトするために再度投資が行われる可能性はあります。
メーカの工場が多い天津・青島は低下傾向を示しています。現地化が進んで日本人駐在員が以前ほど必要ない事と、物価・賃金上昇に伴い、東南アジアへの工場移設が進んでいるためと思われます。
2010年は中国全体で13万人の在留邦人がいますが、うち2万人超がここに名前が上がっていない小さな地方都市に滞在しています。成都や重慶・西安といった大都市だけでなく、資源開発や農作物の買い付けなど、生活が不便な地方都市にいらっしゃる方も多数いるのだと思われます。