『みんなで創る、神経難病患者と一緒に鎌倉に行こうプロジェクト2019』10/27に開催しました
昨年開催したプロジェクトが好評だったので、今年も開催しました。
今年は10月なっても大型の台風が連続してやってくるような気候で、天気がとても心配でした。案の定、台風21号は各地に甚大な被害をもたらしました。被害に合われた方々にはお見舞いを申し上げるとともに、早い復旧を願うばかりです。
ともあれ我々にとっては幸いなことに、この台風は前日の午前中に関東沿岸を通過してくれて、当日は見事に晴れてくれました。
開催の意思決定が遅れたにもかかわらず、ALS患者4組と30名を越える健常者の方にお集まりいただきました。患者チーム3組が、直前にご都合でキャンセルとなってしまったのが残念でした。
「二の鳥居」に集合して「段葛」を歩く
鎌倉駅前は混むので、鶴岡八幡宮の参道「段葛(だんかずら)」の入り口にあたる「二の鳥居」を集合場所としました。
段葛は周囲より一段高くなっており、普段視線が低くなってしまう車椅子ユーザーにとっては、眺めのいい道です。若宮大路に並ぶお店がよく見えます。
しかし段葛に上がるスロープはないので、折りたたみスロープと人手が必要です。そのあたりの支援は抜かりがないのが、このイベントの良いところです。
後述の風の杜でランチする人は11:15に、他の人は12:30に集合という段取りでした。
「茶寮 風の杜」でランチ
ランチはそれぞれでとることになっていましたが、希望者は「鎌倉文華館」内の「風の杜」でランチを取ることにしていました。鶴岡八幡宮の源平池に面した、眺めの良いところです。
食事のメニューは、鯛茶漬けと鰹茶漬けの2つで、しかも2000円と少々お高いのです。でも、味と景色を堪能して、結局納得のお値段でした。
私は、かつお茶漬けを頼んだのですが、そのままでは食べられません。
ミキサーを持参したのですが、お店でカツオとご飯を刻んでくれたので、そこにお茶をかけてほとんど食べることができました。小さな水ようかんもついていて、それも美味しくいただきました。
本宮のふもとで集合写真
13時過ぎに太鼓橋で集合して、本宮に上がる階段前で集合写真を撮りました。(タイトル画像)
参加者のお一人の武本花奈さんに、贅沢にもお願いしてしまいました。
武本さんはプロカメラマンで、ALS患者の表情を切り取ったTHIS IS ALS展を全国で開催しています。
人数が多いので、車椅子を担いで本宮に上がることも考えたのですが、さすがに事故を起こしてはいけないのでやめました。
川喜多映画記念館
集合写真のあとは、10分ほど歩いて閑静な住宅地にある、「川喜多映画記念館」へ移動しました。
川喜田夫妻は、戦前から映画プロデューサーとして、制作・買付にご活躍されたとのことで、その住居が記念館になっているとのことでした。我々も見たことのない、古い映画ポスターが展示されていました。
鏑木清方記念美術館
住宅地の小道を5分ほど歩いて、「鏑木清方記念美術館」に移動しました。
鏑木さんは浮世絵師・日本画家ということですが、いわゆる美人画の画家です。泉鏡花や樋口一葉などの小説に、挿絵を提供したことで著名とのことです。
学芸員の方がついてくれて、丁寧に説明してくださいました。
小町通りへ
鎌倉初心者は行かないであろう展示を見たあとは、鎌倉の定番小町通りへ。
お土産を買う方たち、抹茶ソフトを食す方たち、ただ散歩を楽しむ方たち、さまざまに過ごしていました。
SONG BE CAFEで対話の会
鎌倉散策の終わりは、SONG BE CAFEでの対話の会でした。
段差も、人手があれば軽々クリアできます。
まずはドリンクを頼み、グループごとに感想を話す形でした。
私も少しお話させてもらいました(後述)。
散策の様子はネットでも中継
現地参加できない方のために、現地中継とドローン中継を用意しました。
シアンの中野さん(車椅子ユーザー)が生中継してくれました。
ただ、機体トラブルのためにドローン中継ができなくなってしまいました。フォロー案を検討しています。
参加費はクラウドファンディングで集めました
昨年は、参加費の徴収は現地で行いましたが、結構な手間でした。また、開催後に、「寄付させてもらいたかった」との声を少なからずいただきました。
そんなわけで、今回はクラウドファンディングサイトのCampfireのソーシャルグッドむけメニューGoodmorningを利用しました。
リターンとしては、
- 当日参加(健常者) 3000円
- 当日参加(患者チーム)4000円
- 現地中継+ドローン中継 2000円
に加えて、それぞれにDVD付き(+3000円)を用意しました。
患者チームに人数課金してしまうと金銭的な負担が増えてしまうので、このような設定にして、その分を他の参加者に負担して頂く形です。
当日参加できないので・・・と言って、寄付代わりに現地中継リターンを購入してくれた方も少なからずいらっしゃいました。
皆様、本当にありがとうございました。
このイベントに対する私の思い
自分も以前は健常者で、障害者や難病には無縁の生活でした。いざ、自分が当事者になってみると2つの問題を認識するようになりました。
一つは、体が不自由になると活動に人手が必要になるので、やりたいことを我慢するようになるということです。もっと、手伝ってもらいたいことを発信したほうがいいですね。
もう一つは、健常者はどう対応していいかわからないということです。日本人は、マイノリティは隠す傾向があるので、知る機会がない。知らないから、怖くて距離をとってしまう。もう一歩近づいたほうがいいですね。
そんなわけで、このツアーが、双方歩み寄るきっかけになれば、と思います。
実行メンバーのご紹介
鎌倉を中心にユニークな活動をしている仲間の協力を得て、このイベント企画を進めています。
- ドローンを用いた空中散歩体験「空力車」を提供する、株式会社シアンの岩井隆浩さん、中野政勝さん、ほか
- ダイバーシティなゲストハウス「彩(イロドリ)鎌倉」を運営する、株式会社i-link-uの高野朋也さん
- バリアフリーツアーの企画・実践を積み重ねている、株式会社ウェルネスツーリズムあいあいの桐山裕子さん
もちろん、私の遊び仲間たちも協力してくれています。
おわりに
今回は意思決定が遅れてしまい、実行メンバーにも負担をかけたり、「参加したいのに予定が・・・」という方もいらっしゃって、反省しきりです。
とくに、川崎つながろ会のメンバーは、翌週にバスハイクを予定しており、そちらを優先してもらいました。
参加したかったみなさん、すみませんでした!!
ともあれ、当日は晴天に恵まれて気持ちのいい時間となりました。
いろんな感想をいただきましたが、全体に好評でした。
人数が多いと、交代で車椅子を押したり、少々の段差はみんなで持ち上げてしまったりできます。おかげで、ヘルパーさんや家族の負担も軽減されるし、我々患者も楽しく過ごせます。
何をしていいかわからなくて・・・という声もありました。でも、それは参加したからこそわかったことですよね。次の機会は、もう一歩踏み出してもらえるかな、と期待しています。
バリアフリーというと、どうしても道路や施設が車いすで入りやすいか?というインフラ視点になりがちです。でも究極は、すこし困っていると人がわらわら集まってきて手伝ってくれる、「心のバリアフリー」なんだと思います。
次回も参加したい、もっと手伝いたい、という声もありました。ぜひ来年も開催したいと思います。