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ALS患者高野元の日常と思考と回想

中国:中国人は信用できるのか?

      2015/08/07

一月程前に、独立系コンサルタントの友人とランチしたのですが、いろいろ雑談している中で「中国人は信用できるのか?」という質問を受けました。

その友人がいうには、最近読んだ某経済評論家の中国がらみの本が中国と中国人を酷評しているので、中国経験のある私に聞いてみたいと思ったそうです。

じつは、いろんなところでこの質問を受けています。もちろん同じ回答をしたのですが、ブログにも書いておこうと思います。なお、これは私の局所的(主に大連地区)の経験に基づくものなので、地域によっては、多少は違ってくると思います。

私の回答を簡潔に言うと、「いろんな人がいるので、だまされる人もいるだろう。幸いにして信用できない人とお付き合いして、ダマされるようなことはなかった。むしろ、信頼できる社員に囲まれて、会社経営することができた。」です。ただ、現地で過ごしてみないとわからない視点があるので、いつも下記のような説明を加えています。

(1) 現代中国のなりたち

ここ30年の経済成長は、文化大革命のあとに鄧小平が唱えた改革開放(1978)か始まり、天安門事件後に南巡講話(1992)にて保守派を封じ込めて、資本導入による経済発展を推進したところから加速しました。沿岸部に積極的に外資を導入して産業を起こし、地方から安い労働力を都市に誘致することで、さらに外資を呼び込むという好循環を生み出したわけです。

この30年での、上海をはじめとする沿岸部の発展はみなさんが知るとおりです。一方で、内陸の農村部は依然として貧しい生活を強いられています。いまでも、都市部の大卒の初任月給が、農村部の世帯年収をこえることは珍しいことではないのです。

現代の日本人が、30年前の高度経済成長期あるいは60年前の戦後の混乱期を想像しにくいように、中国の沿岸部を除く殆どの地域は、現代の日本人に想像しにくいできごとが多々あります。これは、政治形態によるものもあれば、社会の発展段階によるもの、長い文化的な歴史によるものもあります。

(2) 中国人の人間性は、日本人が想定するものよりも幅広い

冒頭に述べたように、中国では貧富の差がいまだに激しく、貧困の中で生きている人も多数存在します。就学率では、高校が8割強、大学・専門学校では2.5割程度です。ちなみに日本では、9割以上が高校に行き、5割が大学・専門学校で高等教育を受けています。

人口が10倍の国ですから、就学率の差以上に出会う人の人間性にはばらつきがあります。接触する集団を間違えると、その性質は日本以上に大きく変わってきます。

また、出身地や民族によっても特徴があり、人のものは自分のもの、あるいは親類で分けるもの、という考え方をする人も実際にいます。身内で通用する文化なので、これは始末に悪いです。

しかし、優れた成果を出す人物の多くは、世界に通用する優れた人格の持ち主です。ご存知のように、現代中国で起業されて、すでにグローバルに成功しているといえる企業がいくつもあります。このような成功が、人を騙すたぐいの人格のもとで達成できると考えるほうが無理があるのではないでしょうか。

(3) 本人が体験したことがない仕事をやらせるには、繰り返し教えるしかない

日本はなにごとも行き届いており、製品やサービスの質の高さは、いまだに世界から認められています。一方、中国ではこれほどの高品質製品やサービスを経験した人はまだ少ないので、背景を共有しあう日本人同士で行うような感覚的な指導だと、具体的に何をどうしたら良いのか分からないのです。

一方で、手取り足取りで具体的に指導し、ストレッチがあっても達成可能な具体的目標を設定すると、多くの人が全力で取り組みます。もちろん、改善プロセスも目標設定に連動させれば、一部の人が創造性にも貢献できるようになります。

サービスや品質など、現場の創意工夫が必要なものはマニュアルで教えるのは無理がありますので、なんども根気よく教えないといけません。やる気のある人は、あきらめずに教えればついてきます。

ユニクロを始めとして中国で生産しているモノは数多くあります。これだけ日本で流通しているのに、その品質にクレームを付けることが減ったと思いませんか? 現地で工場を指導する方達のご苦労が忍ばれますが、その指導に応えている現地の従業員の成長があってこその品質ですね。

(4) 相手を信用せずに見下せば、相手も自分を信用しない

これは人間の基本的な行動原理ですが、信用せず相手を見下していれば、相手も自分を信用しません。信用しない人には、だれも本心を明かしませんし、努力もしません。

「中国人は・・・」と言っている人は、たいていこの問題を抱えています。実は「信用できるんですか?」という疑問をもつ時点で、中国を見下しているということに気づいていないのです。ただ、人種差別の感情で見下している人はそれほど多くなく、自分を優位においておくことで、知らないことによる不安から目をそらしているのがほとんどでしょう。

相手を対等の人間として誠実にお付き合いする、その文化的な背景や社会の発展状況を把握した上で、現地の人達と役割分担する、ことができれば、たいていの困難は乗りきれるのではないかと思います。

おわりに

中国は日本に比べて、チャンスとリスクの幅が何倍もあります。これを面白いと捉えるか、不安だと捉えるかは、個人の性格や人生の考え方によります。正直なところ、不安だと捉える人は行くのをやめたほうがいいと思います。そういう方は、毎日小さな不満をためて、出来ることもできなくなり、チャンスを認知することも出来なくなるでしょう。

日本でもどこでも、良い仕事をするためには、機会を捉えて良い人と出会い、全力で努力することから道が開けます。中国でも全く同じですが、文化的・社会的背景を理解して、その違いを捉える努力をしたほうがいいですよ、というのが私の意見です。

なお、タクシーの運転手が遠回りをして必要以上にお金を取られた、などは、中国で暮らす上では当然自己防衛すべきことなので、私の中ではダマされた部類に入っていません。念のため申し添えておきます。

 - 大連生活