不眠のはなし(1)人工呼吸器の設定が合わない

病理・医療,発症と療養の経緯

どうも2024年は、不眠に苦しむ年であるらしい。

春には、人工呼吸器の設定が合わずに、とうとう不眠になりました。

夏には、連日の酷暑日で熱中症になり、あっという間に不眠になりました。⇒ブログ記事

どちらも、その前には講演続きで、かなり忙しかったという状況で、過去の経験上そういうときは睡眠が浅くなりがちではありました。それでも不眠になる明確なトリガーはあったので、そのあたりを書き残しておきます。

春の不眠:人工呼吸器の設定が合わない

昨年の12月のスイス出張は、大きな達成感とともに、それなりの疲労を残しており、回復には時間がかかっていました。また、昨年後半はほとんどの講演依頼をお断りして、年が明けたら対応すると約束していました。さらに、クラウドファンディングの支援者にスイス出張報告も行っていて、1月から結構忙しく過ごしていました。

スイス出張で延期していたことの一つが、人工呼吸器の交換です。使用してきたフィリップスのトリロジーは生産終了でサポートも期限が切られたので、代替製品に乗り換えを迫られていました。せっかくなら、メーカーを変えることも視野に入れて、広範囲で乗り換えを模索しようと考えました。

 

そこで2月半ばから、某メーカーの呼吸器を試し始めました。
#なお、このはなしはその呼吸器メーカーをディスる目的ではないので、メーカー名を明らかにはしないし、聞かれても答えない。

しかし、この呼吸器が合わなかったのです。最初は、トリロジーの設定と同じものからはじめたのですが、一回換気量は十分なはずなのに、明らかに吸い足りなくて、寝付いてもなんども覚醒するようになってしまいました。

もちろん、訪問医師に訪問看護師、メーカーのMEも同席して、細かい設定をなんども変更したのですが、自然な呼吸に一向にならないのです。どうやら自発呼吸が十分なので、アクティブモードのアルゴリズムがわたしの呼吸と合わないようでした。

このメンツが集まれるのはせいぜい二週間ごとなので、「まあこれでよいかな」と思って仮設定したら、「なんか違うな」と感じても、二週間ちかくは寝ないといけないことになります。

 

これがじわじわ体に効いてきて、不眠になってしまいました。目が冴えて寝られないのではなくて、寝ても短時間で覚醒するのです。しかたがないので、睡眠薬を使わないとなりませんでした。

結局最後に、呼吸器なしでどれだけ寝られるかをテストしてみました。医療者に相談したら反対されるに決まっているので、もちろん独断です。結果として、よく寝られてしまいました。翌朝にナルコーシス(ガス交換不良による血中二酸化炭素濃度の増加)による倦怠感が残りましたが、日中の自発呼吸で昼頃には解消していました。

この結果をもって、この呼吸器への乗り換えは、きっぱり諦めました。

 

こんな睡眠状況では、当然昼間もずっと眠いわけです。さらに、うつ状態で何もやる気が起きなくて困りました。幸い4月は、準備が必要な仕事がほとんどなくて、休息に当てることができました。おかげでGW明けにはほぼ回復できまして、5月中旬から始まる、講義・講演・外出ラッシュに備えることができました。

私は、2016.1からNPPV(口マスク)、2017.5からTPPV(気管切開)で就寝時に人工呼吸器を使用してきましたが、定期的に設定を調整する程度で、ほとんど問題なく過ごしてきました。

ときどき人工呼吸器の設定を患者に合わせずに、患者が苦しむはなしを未だに聞きますが、「ああ、そういうことなんだ」と私も苦しみを経験したことになります。

人工呼吸器を扱う医療者の方には、人工呼吸器の設定が患者に適合するまで、細かく調整を行ってほしいと思います。