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大連理工大学が立命館大学と共同で新学部を設立?!

      2012/08/18

昨日の日経新聞の記事に、立命館大学が大連理工大学と共同でIT学部を設立という記事が載りました。

立命館大、中国にIT系学部 大連理工大と共同で  :日本経済新聞
立立命館大学は9月、中国の大連理工大学(大連市)と共同で、IT(情報技術)系の新学部を設立する。大連市では国内外のIT・ソフトウエア関連企業の集積が進む一方、人材の育成が課題になっている。立命館大は情報理工学部での教育ノウハウを投入し、教員の派遣や転入生の受け入れ、日本語教育など運営面でも支援する。立命館大によると、日中の大学による学部の共同設立は初めて。

大連理工大学は中国東北地方を代表する名門大学の一つであり、大連地区では頭ひとつ抜けて優秀な理工系大学です。私が現地で活動していた2010年時点では、この大学の卒業生は、他大学に比べて1.5~2倍の給与を提示しないと入社してもらえないほど人気がありました。地区にあるグローバル企業(IBM、アクセンチュア、ほか)が、この大学から採用をしていくためです。また、理工大の学生が1−2年で日本語能力試験の一級にパスする事例を何人も見てきました。

本文とあまり関係ないですが、大連理工大学の体育館です。市民に解放されており、私も何度か遊びに行きました。(日中文化交流者から拝借)

大連地区には市政府の優遇政策もあって、2000年前後から多数の日系企業がソフトウェア開発のアウトソーシング企業を設立してきました(私もその一人だったわけです)。しかし、日本国内でのITゼネコン型の仕事が収縮したため、その孫請けとなるソフトウェア開発産業(ITO)は受注が減少しており、より上流工程を担当できる人材の確保が課題となっています。さらに日本企業は固定費を削減するために定型業務のアウトソーシング(BPO)に積極的で、こちらは数百人規模のセンター設立や拡大が続いていると聞いています。

将来性が見込めて給与の高い就職可能性の高い大学や学部は人気が高くなり、優秀な学生が集まります。今後BPO企業に強い大学というブランドを作るために、今回の提携を仕込んだことは想像に難くありません。BPO業務では高度な日本語コミュニケーション能力が求められるため、最優秀の生徒に日本留学のチャンスがあるというのは学生にとっても魅力的です。

一方、立命館大学は外国人留学生の受け入れに積極的な大学としても知られています。立命館グループ(立命館大学、立命館アジア太平洋大学)の合計で見ると、外国人留学生の数が日本最大です(※1)。さらに、その中で中国人留学生の比率は6割を越えており(※2)、中国の上位校を介して、優秀な留学生を確保したいという意図は良く理解できます。

※1:独立行政法人 日本学生支援機構「平成23年度外国人留学生在籍状況調査結果」(→リンク)
※2:立命館大学 基礎データ「学生数・生徒数」(→リンク)

この2つの大学は2008年ごろから協議を重ねて一歩一歩前進し、共同で学部を設立するに至ったということです。

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このニュースを見て大連地区の大学ランキングに変化が出たのかもしれないと思い、中国大学ランキングを確認してみました。大連理工大学の順位は 2006年:28位2012年:25位と、遼寧省のトップ校であることに変わりはありませんでした。

日本語の強化によるITOやBPOの高級人材を育成するという路線も大切なのですが、国内に今後も確実に成長する大きな市場があるのです。そろそろ、そこで勝負できるサービス/製品開発に挑戦できる人材の育成に転換してはどうかと思います。今回の日中提携がその一環になるといいですね。

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